寺族が使う専門用語
お寺に縁がない家庭で育った女性がお寺に嫁ぐと、お寺の世界では当たり前に使われている言葉に戸惑うことがあります。私がそうでした。
お寺で生活をする寺族は日常的に使う言葉で、一般の人だと理解しづらいお寺用語をご紹介します。
庫裡(くり)
「くり」と聞けば、音の響きで「栗」しか思い浮かばない方がほとんどではないでしょう?
「庫裡」とは元は台所を指す言葉だったようですが、今は寺院の中で、僧侶が日常生活を送る場所を指して使われています。
「庫裡」はお寺によって、本堂と廊下続きになっている場合もあれば、別棟になっている場合もあります。
お坊さんと結婚することになったら、「庫裡」は日常的に使われる言葉となります。
東司(とうす)
禅寺では御手洗い(トイレ)のことを「東司」と言います。
同じ禅宗でも、曹洞宗では「東司」、臨済宗では「雪隠(せっちん)」と別名だとの説もありますが、臨済宗でも「東司」は普通に使っています。
禅宗では、起きてから寝るまで、生活全てが修行と考えられています。
トイレは誰にも見られることの無い空間ですが、自宅に限らず、公共のトイレであっても、次に使う人が不快な思いをしないよう、汚さずきれいに使うことは、他人への思いやりです。
施餓鬼(せがき)
「施餓鬼」は、仏教徒の方なら聞いたことのある言葉かもしれません。仏教行事の一つです。
亡くなってから行くことになる六道(天上道、修羅道、人間道、畜生道、餓鬼道、地獄道)のうち、生前の悪行から、成仏できずに餓鬼道に堕ちると、飢えと渇きの苦しみを延々と味わうことになるのだそうです。
自分の私利私欲に走って他人に分け与えることをしなかったことが原因と言われています。
自分では苦しみから逃れられない餓鬼に、食べ物や飲み物をお供えして、供養するのが「施餓鬼」です。
作務(さむ)
「作務」は、境内の掃除などの作業労働のことです。
禅宗では、掃除などの労働は修行の一つとして欠かせないものと考えられています。人が出入りするので、ほこりも舞いやすかったり、落ち葉や雑草も気づけば目につくので、こまめに掃除が必要です。
この「作務」のときに着るのが作務衣です。
作務衣は作業着にあたりますが、素材や形、色など意外と豊富な選択肢があります。
寺庭(じてい)
「寺庭」とは、住職の配偶者のことを指します。お寺の奥さんです。
法話の神様と言われた臨済宗の僧侶が作った造語と言われ、家庭に対してお寺なので「寺庭」というそうです。他にも「坊守さん」「お庫裡さん」「大黒さん」などと呼ばれることもありますが、実際に呼称としては、普通に「奥様」と呼ばれることが一般的です。
住職の仕事を裏方としてサポートするのが「寺庭」の主な役割です。
接客対応や掃除、住職不在時の留守対応など。
様々な事態に臨機応変な対応が求められます。






